ミシンを買った(こんなもの買ったシリーズ)

これはむかしむかしの「家族っていいなあ」ネタです。
 
 
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  ミシンを買った。 

 前から欲しいと思っていたのだが、私に使えるかどうかわからないし、けっこうな値段もするからフンギリがつかないでいた。しかし先日、インターネットで超安値のミシンを見つけたので、思いきって申し込んだ。妻にはナイショ。とつぜん見せて驚かすつもり。 


 送金から二日で届いた。ワクワクと梱包をほどき現物を見たら、想像以上に小さな姿。背丈は十五センチほどだし、全体が薄いのプラスチックでできていて指一本で持ちあがる軽さだ。「大丈夫かなあ?」というのが正直な感想だった。 


 説明書を見ながら糸を通し、試しに薄いボロ布を二枚重ねてスイッチ・オン。おお、なんとなんと、予想に反してタタタッと軽快に縫いはじめたではないか。思わず「疑ってスマン」とミシンに謝ってしまった。 


 次に本番というわけで、ヒザの破けたジーパンを持ってきて再びスイッチ・オン。これまた軽快にタタタッと動きだし「すごいすごい」と喜んでいたら、とつぜん「むーん」とモーターが唸って止まってしまった。
 
 針のところで布がダンゴになって詰まっている。糸もなんだか絡まっているみたい。軽く布をひっぱってみたが動かない。
 
 そこで癇癪をおこして力まかせに引っ張ったら、ベキッと鈍い音をたてミシンは壊れた。
 
 あわてて説明書を読むと「糸や布が詰まったとき、無理に引っ張ると壊れます」と書いてある。なんと説明書に忠実なミシンであろうか。 


 本体を持ちあげ揺すってみると、中から「ガチャガチャ」と音がした。
 
 ひっくり返して叩いてみたら、ネジと破片が寂しく落ちた。それらをまとめて箱に詰め、急いで押入れに片づけた。 


 妻にとつぜん見せて驚かそうと思ったミシンだけれど、驚くだけでは終わらない気がする。ああ、どうしよう。 


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 その後、新聞のエッセイをコピーしたミシン屋さんが「ほら、安物を買うとこういうことになるんですよ」と言って高級ミシンを売り歩いていたという事実が判明したざんす。マージン、くれー。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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