霊媒のオババさま


 あるところからリクエストがありましたので書かせてもらいます。




 それはもう二十年以上前の話ですから、そのオババさまはもう亡くなっているかと思います。



 ですから、皆さまがオババさまに会おうとしてもそれはムリですし、これからわたしの書く話が真実かどうかは、皆さまには確かめようがないと思います。



 


 当時のわたしは、体を病み、日々痛みに苦しんでおりました。


 


 あのころは、薬の副作用や体の弱りなどもあって、記憶もところどころ混濁しておりますが、ゆっくりとあの日を思い出してみようかとおもいます。


 


 そのオババさまを知ったのは、ある車のセールスさんからでした。わたしはいちども買ったことのないディーラーに勤めるセールスさんでしたが、なぜか気が合って、いっしょに飲みにいったりすることもありました。


 


 「フジタさん、一回騙されたと思っていってみない? ほんとの病名がわかるかもしんないよ。あんた、胃潰瘍なんかじゃないってば」と彼は言ったのでした。


 


 当時、慢性の胃炎と胃潰瘍により痛みが出ていると診断され、もらった胃薬と痛み止めを毎日飲んでいたわたしでした。



 お医者さんを三ヶ所いっても、みな同じような診断で、同じような薬をもらうばかりでした。



しかし、そのような薬を飲んでも、一時的に改善したかなと思うこともあっても、やっぱりいつまでたっても調子はわるく、ジワジワと体は弱り、ひさしぶりに会う人などは、わたしの姿を見て絶句するほどでした。いまよりも、20キロほど痩せてしまっていたと思います。

 


 


 彼から、「よく当たるらしいよ」と霊媒のオババさまの住所と電話番号を聞かされ、そういうのをまるで信じないわたしでありましたが、せっかく彼が紹介してくれたのだし、霊媒のオババさまがどんなふうに人を信じさせるのか(ようするに、騙すのか)を見てみたいなと思って、いってみることにしました。


 


 その場所は、残念ながら覚えていません。そばに田んぼや畑があったように思いますが、ハッキリしません。



 あのころはいまよりも極端に血圧が低くなっており、脳に血液がじゅうぶん回っていなかった気がします。



 ですから、あのころの記憶がとても曖昧で、現実だったのか夢だったのか正直ってわからないことが多いのです。



 あの家にどうやって行って、どうやって帰ってきたのか、その道順はなにも覚えていませんが、ただ、あの家の中で起ったことは、間違いなく事実であったろうと思います。

 




 こんな話ですが、読んでもらえますか?





uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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