アラ、秋



 もう秋。





いつのまにかヤマボウシ。





そしてキンモクセイが咲いている。






 「キンモクセイの娘へ」


 


 キミはキンモクセイの薫る秋の日に、元気に生まれてくれました。

 


 キミの寝顔を見つめながら、キミが幸せになれますようにと祈りました。



 キミに降りかかる苦しみも悲しみも、みんなお父さんが引き受けるから、キミはなにも苦しみを知らずに穏やかに暮せますようにと、神さまにお願いしましたよ。




 


 でもね、そんな願いは聞き入れてもらえないんだよ。

 キミの苦しみは、キミが引き受けなければならないんだ。

 いくら親でも、キミのかわりに苦しむなんてことはできないからね。


 


 だから、お父さんはキミに「がんばれ」という言葉を贈る。いまはいろいろ肩身の狭い言葉だけれど、それを承知であえて贈るよ、「がんばれ」って。

 


 がんばれがんばれ、負けるながんばれ。


 


 でも、どうしてもがんばれないときだってあるかもしれない。



 そのときキミは、自分を責めちゃいけないよ。

 がんばれなくなったのは、がんばり続けてきた証拠なんだからね。

 きみの責任じゃないんだからね。


 


 そんなときは、休めばいい。人のことは気にしなくていいから、堂々と休めばいい。



 キミの苦しみをわからない人に、「がんばりが足りない!」と責められたとしてもいいさ、知らないんだもの、ほおっておこう。


 


 どんなときでも、お父さんとお母さんはキミの味方だ。キミがどんなふうになっても、父さんとお母さんのかわいい娘だよ。



 この先、キミがお母さんになったとしても、やっぱりお父さんとお母さんの娘だよ。



 そして、お父さんとお母さんがこの世からいなくなったとしても、それでもキミは、お父さんとお母さんのたいせつなたいせつな娘だからね。




 これからもよろしく。


 




uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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