神戸市 東灘区
神戸市 東灘区 家屋倒壊
乃生(のせ)省悟団長さんにお話を伺った。
震災のときに撮ってもらったという、ご自身の写っている写真を見せてもらった。疲れた顔した男たち三人が写っていた。その中のひとりが乃生省悟さんだ。
「これが、震災の何日目のことなのか、よくわからないのですよ」と言う。「毎日が無我夢中で、時系列での記憶がハッキリしていないのです」とのことだ。それだけ壮絶な日々だった。
その日、「あ、地震だ!」と思った直後に激しい揺れが始まった。
咄嗟にそばに寝ていた奥さんに自分の布団を被せ、そしてさらに自分の体を楯にして、上から落ちてくるものから奥さんを守った。
電気が止まって真っ暗だった。時間もわからなかった。手探りで家の中を歩き、家族の安否を確認した。みな無事だった。
消防団の活動服を着て外に出た。
外は真っ暗だった。そしてなにも音のない世界。まさに「シーン」という状態。なにも動いていない、なにも見えない、なにも聞こえない、状況がなにも伝わってこない。
かけた単車のエンジンが、その静寂を破った。ライトで前が照らされた。そこに、地割れが映った。イヤな予感がした。
乃生さんは単車を走らせた。
自宅から五〇メートルほど離れた国道四十三号線に出た。
阪神高速道路が倒れていた。
単車のライトに照らされた世界は、白く埃が舞っていた。それがモヤとなってボンヤリとしていた。その奥に見えるのは、倒壊した建物だった。
「えらいこっちゃ・・・」と思った。背筋がゾッとした。大変なことが起こっている。
・・・・・。
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次の消防団の本、最後の仕上げに入っています。
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