愛想のいいオンナ♡

 朝目が覚めると、ワタシか妻か、どちらかがあずきのケージにいく。

 基本的には、妻が先に行くことが多いけれど、たまにわたしが先だったりすることもある。

 

 そのときは、とってもキュートな目をしてわたしを見つめる。



 「はーい、お待たせー!」



 と外に出すと、わたしに抱きつきぺろぺろぺろと顔をなめ、それに満足すると縁側を全速力で走り回る。



 だだだだだーっと走って行って、だだだだだーっと戻ってきて、まただだだだだーっと走って行く。そんなことを繰り返し、そのあとは外に出るため、首輪にヒモをつける。



 そして縁側と外を行ったり来たり。まあ、基本的には縁側にいるんだけど。



 誰がやってくると、ソッコーで外に出てその人の前でひっくり返り、そしてしっぽ振って郵便受けの下で大歓迎する。飼い主のワタシが嫉妬するくらいに、他人に愛想がいい。



 夕刊を配達する人、郵便屋さん、食材を運んでくる生協の人、新聞の集金の人、葬儀屋の互助会の人、みんなに愛想を振りまいて撫でられている。



 もっとも、犬ぎらいの人はあずきに近づいていかないだろうから、そばにきてくれる人はみな大歓迎なのだろう。



 その姿をこっそりと見ているワタシ。



 今日は、外は雨。地面が濡れている。

 だから、濡れた足のまま縁側に戻ってくる。



 あずきのいる場所は、ベニヤ板が敷かれている。元消防団の大工が敷いてくれた。



 こいつは先代のハチよりヤンチャ。外と縁側の行き来が多いから、砂の量も多い。しょっちゅう掃きだしているのだけれど、間に合わない。その先の縁側が白くなっているのがわかるだろうか。昨日、拭いたのだが、もうこんな感じ。あずきの板の上を爺さまがトイレにいくために歩くので、砂もいっしょに運んでしまう。一日何十回となく(大げさではなく)トイレに行くので、砂の運搬がハンパじゃないのだ。



 我が家の廊下は、この愛想のいいオンナのせいで、どんどん削れていく。


uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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