恥ずかしいと言うタマネギと魔界の大根

 夕方になって、母を連れて畑に行った。



 入院中から畑のことが気になっていた母は、最初は「疲れているからいかない」と言っていたのだが、それでもどうも気がかりなようで「やっぱり連れていってくれ」と言い出した。

 

 まだまだ本格的には動けないけれど、行けば行ったで、それなにり体もがんばる。

 入院前に植えた大根を間引いたり、ジャガイモの順調な成長に安堵したり、ネギが大きくなりすぎてビックリしていたり、なかなか刺激的な畑訪問だったようだ。



タマネギが部分的に倒れていた。

風にやられたのかと思ったら、タマネギが倒れるのは成長の証とのこと。



タマネギは、倒れてから太るのだそうだ。ほー。



「そんなことも知らなかったのか」と呆れられたが、知らない。学校で教えてもらっていない。





ところどころ、タマネギからトウが出ている。

「トウが出るのは恥ずかしい」と母は嘆いていた。



恥ずかしいと言っても、タマネギのトウは収穫遅れのためじゃない。

まだまだ小さいうちからトウが出ている。

ということは、それは誰のせいでもなく、玉葱の資質と環境によるものであろう。



となれば、作り手のせいではなかろうに。



それでもやっぱり母は恥ずかしいそうだ。



ちょっと前まではプロの農業人であったわけで、そのあたりのこだわりがあるのだろうか。



ちなみに、タマネギのトウとはこんなもの。



ちょっと未熟なネギボウズみたいなヤツ。

ここらでは、オトコ玉葱と言うらしい。なにがどうオトコなのか不明であるが。



トウといえば、これがすごい。



一本の大根が自由奔放に生き、ここまで巨大に成長した。



下の真ん中あたりに小さく白く写っているのが大根の本体である。



どんどんトウを出し、何千という種を作った。花が咲いているので、まだまだ種ができることだろう。



魔界の大根という感じ。恐ろしくて、ひっこ抜けない。





魔界の大根には手を出せなかったが、今夜の味噌汁は、間引いたウブな大根の葉っぱで味噌汁。

母がジャガイモの皮をむいて、そして葉っぱを茹でた。そこで力尽きた母。



そのあとは、わたしが葉っぱを切って、味噌汁を完成させた。

さっきまで畑にいた大根の命をいただく。




uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

0コメント

  • 1000 / 1000