知らない・・・


 あなたが生またその日。



 お父さんもお母さんも、どんなに喜んだことだろう。


 その日を、ずっと待っていたのだから。

 


 あなたの名前をいっぱい考えて、それがなかなか決められなくて。

 さんざん悩んで、やっと決めた名前。




 やすらかに、すこやかに育ってくれますようにと。



 お母さんは、あなたを想ってオムツを縫った。

 あなたのために、ていねいに縫った。

 あなたの生まれてくるその日を想って、優しく縫った。






 


 そのとき、あなたのお父さんは・・・そう、あなたのお父さんは・・・


 


 あなたのお父さんは、きっととっても・・・ソワソワしていた。

 


 どうしたらいいのか、なんだかよくわからなくって、ほんとにうれしいんだけど、なにをしていいのかわからなくて、きっととってもソワソワしてた。




 ソワソワして待ち続けて、そしてその日を迎えた。







 嬉しかったお父さんは、あなたの顔を見ながら、こう祈った。



 「お父さんの幸せ、みんなキミにあげる。キミが幸せでありますように」



 そのお父さんはもうこの世にいないけれど、ずっと変わらず、永遠にあなたのお父さんでいる。



 これからも、あちらの世界であなたのことを優しく見ていることだろう。







 毎年、この日

 「いくつになった?」って知ってて聞くけど、いつもあなたは「知らない・・・」って答える。



 これからも元気にヨロシク。





uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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