オレ的世界最上級味シリーズ4 ギョウザ

 ギョウザはカリカリと焼いたのも好きだし、しっとりモッチリ仕上げたのも好きだ。



 自宅で市販の餃子を焼くときは、ウラオモテしっかり焼きあげて食べることが多い。そんならいっそのこと油で揚げろって話になるのだが、それだとこんどは具にも油が入ってしまって、また別物になっちまった感じ。それに、やっぱり蒸したいし。



 モッチリ系の中で「オレ的世界最上級シリーズ」は江南区の中華屋さんの逸品。チームつるかめのランチなどで何度も登場している店だ。



 羽根などはついてないけれど、しっかり焼けて、しっとり蒸したムッチムチ系。



 弾力のある皮の中から熱々でジューシーな具が出てくる。

 油断するとヤケドするが、しかしこれは熱いところをハフハフと食べるのがうまい。



 この店にきたら、なにはなくともギョウザなのだ。



 しかし、「なにはなくとも」と同時に、常にためらいもある。

 

 とってもうまいのだが、食後がとってもくさくなるから、そのあたりの覚悟も必要となる。



 先日も、消防団のメンバーと行ってきた。

 みんな、ギョウザを食って帰ると、奥さんに「臭い」と怒られると言っていた。



 そうだよなあ、怒られるんだよなあ。だから今回は注文しないでおこうぜ・・・なーんて言っているのに、なぜかギョウザが登場する。



 「だ、だれだ、この禁断のブツを頼んだヤツは!」とウロタエながらも、アタリマエのようにタレを作っている。「オレ、酢と胡椒だけで食うから」なんてツウもいる。



 「2個までならバレずにすむこともあります」なんて希望的観測を述べるオトコがいて「そっかー」とそれを信じて食べるが、きっとダメだ。



 「消臭剤を飲めば大丈夫っすよね?」と言うヤツがいたが、それも希望的発言。過去の経験からこのギョウザに勝った消臭剤はなかった。



 しかし、ナンダカンダ言ってももう食ってしまっているし。

 どうにでもなれ。ああ、うまい。



 気休めに、コンビニで買った消臭剤を飲む。



 家に帰り、誰にも会わずに風呂に入って寝る。







 翌朝、「おはよー」と皆の前に出ると、娘が「父、息すると臭いんですけど!」と言う。



 その言葉に傷ついて、愛犬のあずきのところに癒されに行く。

 「あずき、オマエは臭いなんて言わないよな」とあずきの顔に息を吹きかけるが、あずきはなにも言わない。喜んでいる。



 それを見て娘が「やめて! あずきが死ぬから!」とマジな顔して怒る。



 「死ぬか! おとーさんの息で死ぬか! どんだけ毒ガスだ」と反論するが「やめてー、死ぬからー」とやかましい。



 このギョウザ、とってもうまいのだが、ときに家庭不和を招く。




uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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