或る水曜日・・・

 早朝の有明の月。



 月の下を雲がゆっくり流れていた。

 その雲の下で、消防団は今日も訓練をしていた。





 今日、お昼前、

 病室の父に転院の話を告げ、外に出た。




 風が気持ちいい。

 陽の光は強いが、吹いてくる風が火照りをさましてくれた。



 木陰があったら、そこで眠るのもよさげだ。

 一旦寝たら、夜の冷たい風が吹いてくるまで目が覚めないかもしれないけれど。



 海を見たいと思ったので、そのまま車で行ってきた。



 そこの風は海の匂いがする。

テトラポッドの向こうに砂浜があった。

しかし、足を傷めている。さすがに行く気力がわかなかった。



 久しぶりに寄ってみたいところがあった。



 菜の花もコスモスも渡り鳥もいないけれど。

 オニバスも顔を出してはいないけれど。

 それでもここは、心を優しくさせるところだった。



 右に傾かせたのは、風かそれとも雪の重みだろうか。

 左に押してみたけれど、少しも戻らなかった。





 家に帰ったら、あずきがわたしの顔を見て、それからオモチャで遊びだした。

 ただいま。おとうさんだよ。安心したんだね。








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