8・あの噂を検証!(2) 風評被害を出さない為に。 《一徳レポート》
8) あの噂を検証!(2) 風評被害を出さない為に。 《一徳レポート》
風評被害を出さない為に(2)
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ネット上には、さまざまなデマが流れています。中には難しい技術資料を示して(シロウトには、いかにも正しい情報に見える)危機感を煽る、悪質な物もあります。
また、それを信じた人がブログに書いたりするから、あっという間に広がってしまいます。
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B)『東京の水道水は危険?』
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東京で水道水から放射性ヨウ素が検出され、東京都民に震撼が走りました。
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ネット上には、さまざまなデマが流れています。中には難しい技術資料を示して(シロウトには、いかにも正しい情報に見える)危機感を煽る、悪質な物もあります。
また、それを信じた人がブログに書いたりするから、あっという間に広がってしまいます。
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B)『東京の水道水は危険?』
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東京で水道水から放射性ヨウ素が検出され、東京都民に震撼が走りました。
それに対応し、3月17日付で厚生労働省が示した『食品の摂取制限に関する暫定基準値』を発表し、『放射性ヨウ素は、飲料水と牛乳・乳製品1キロ当たり300ベクレル以下。ただし乳幼児は100ベクレム以下』としました。
そんな中、『政府は、水道水は基準値以内であり、飲んでも大丈夫だと説明しているが、実は、原発事故に合わせて、日本の安全基準を、従来のWHO(世界保健機関)の勧告に準じていた基準値から、いきなり30倍も緩和してつじつまを合わせている。これは汚染された水道水の危険性を隠蔽する工作だ!』
というような内容のブログやHPがアチコチに立ち上がりました。
その根拠として、WHOが策定した飲料水の基準の資料にリンクさせて、『出典は下記です。203-204ページ、表9-3参照』と書かれています。
《 書かれている例の一部 》
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●3/17までの日本の基準値
放射性ヨウ素131 10ベクレル(Bq/L)
出典は下記です。203-204ページ、表9-3参照
n.pdf
↓
●3/17以降・現在の日本の暫定基準値
・ヨウ素(I-131)131 300ベクレル(Bq/L)
飲料水 300 Bq/kg
牛乳・乳製品 300 Bq/kg
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水道水から放射性ヨウ素が検出され、乳幼児用にペットボトルの水が配られるという異例の事態の中なので、本当はとても危険な状態なのを政府が隠蔽している!と信じた人も多かったでしょう。
どうしたらいいの?と恐怖に震えながら子供を抱きすくめたお母さんもいたでしょう。
精神的ショックでノイローゼになった人もいるでしょう。
なによりも、政府の発表なんてウソばかりで信じてはいけない!!と疑惑の気持ちを蔓延させた、非常に悪質な手口です。
特に他のウワサとちがい、権威のあるWHOの資料とリンクさせているので、普段は慎重な人にも、これは本当の事だ!と思い込ませるのに十分な非常に巧妙なシカケで騙していて、かなりの知能犯です。
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では、検証して見ましょう。
リンクされている資料を見ると、社団法人 日本水道協会が翻訳して公開している『WHO 飲料水水質ガイドライン 2004』という、全部で572ページもある本物の資料のPDF版でした。
序文から読んでみると、
『安全でない飲料水による疾病の伝播が後を絶たず、また、水に関わる新たなリスクが生じるに連れて、水の安全管理に関する最新のかつ有効な手引きの必要性が、1958年当時に重要な課題となり、このときに本ガイドライン(国際飲料水基準)が初めて刊行された、、、』
とあります。
この資料は、未開国を含めて、これから水道事業進める時や、地方の井戸、簡易水道とかの水質に関しての基準を、微生物や病原菌、重金属や化学薬品、放射能に至るまで本当に幅広い分野にわたり解説し、快適な生活を提供するために、提供する飲料水の品質はこうあるべきだ!という基準を示したすばらしいガイドブックでした。
そして『出展は下記です。203-204ページ、表9-3参照』と指定されたページには、確かに放射能物質の基準値が記載されています。
しかし、このガイドブックに書かれた数値には『大前提』がありました。
少しページを戻って、197ページには、こう記載されています。
『スクリーニングレベルおよびガイダンスレベルは、既存または新規の飲料水供給における日常の(「正常な」)運転条件に適用される。
これらは、環境中に放射性核種が放出されているような、緊急時で汚染を受けている水供給に適用されるものではない。
緊急時のガイダンスレベルと一般的な対策レベルについては、他の資料(LAEA,1996,1997,1999,2002)に示されている。』
つまり、このガイダンスの数値は正常な日常、、、生まれてから亡くなるまで、そして何代もわたって、ずっとこの水を飲み続けられ、この地での生活が安全に成り立って行く、そういう長期的な水質の理想的なあり方を示しているのであって、短期的な、シビアに数値管理をしなくてはいけない時期には、このガイダンスではなく、別に規定する資料に従え!と明記されているのです。
3月17日に、政府が発表した『暫定基準値』は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告などを元にして策定した基準値になっていて、まさしく、このWHOのガイダンスに従った行動です。
しかし、572ページもある資料なので、だれも前提条件が記載されている他のページは見ないだろうと、見せたい表だけに上手く誘導した巧妙な手口ですね。かなり手の込んだ知能犯です。
これだけ知恵の働く人なのだから、もっと被災者に役立つ事も考えられるでしょうに、もったいない。
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さてさて、折角なので、それとは別の視線で、『日本の暫定基準値』の安全性をざっと検証してみましょう。
『暫定基準値』上限の、ヨウ素131が 最大値の300ベクレルの場合、国際放射線防護委員会による換算係数(0.022)に基づいて、内部被爆を計算すると、水1リッターあたりの被爆量は0.0066ミリシーベルトとなります。
ヨウ素131の半減期は8日ですから、体内に入っても放射能は8日で半減します。
16日で1/4、24日で1/8、32日で1/16、、、、1ヶ月で放射能が1桁も低くなるのですね。2ヶ月では1/100、、、もう消滅したと考えて良いでしょう。
つまり、単純に全てを累積するのではなく、1ヶ月~2ヶ月摂取した分以上は影響が残らないという事です。
ここでは単純に1ヶ月でほぼ消えるとして、一般の人が年間で被爆してもよいという1ミリシーベルトという基準(これも極めて低い数値だ)で計算すると、1ヶ月で最大152リッター。つまり、最大値の300ベクレル検出された水ならば毎日5リッター飲んでも大丈夫となります。
東京で検出された放射性ヨウ素は210ベクレルですから、この数値の水ならば毎日7リッター飲んでも全く安全となります。
実際に、そんな放射能が続くわけでもありませんし、そんな量も飲めませんよね(笑)
まぁ、この計算以外に食べ物からの被爆も加算されるのですが、最も大量に消費するのが水ですので、それほど大きく変わらないと思います。
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なによりも、ここで基準にした『一般の人が年間で被爆してもよいという1ミリシーベルトという基準』に注目しましょう。
人間が1年間に自然界から受けている放射能が世界平均で2.4ミリシーベルト(イランやブラジルなんかでは6ミリ~10ミリ超えのところもある)くらいですから、そんな自然放射能と比べても遙かに少ない安全な基準値に設定されている事がわかるでしょう。
また、胃のバリウム撮影は、1回で2ミリシーベルト、胸部CTスキャンが1回で7ミリシーベルトです。
1ミリシーベルトという基準は本当にいいの?というくらい、非常に厳しい安全基準なんですね。
そして、前の日記に書いた、臨床学的にわかっている、人間にダメージがない放射線量が200ミリシーベルトですから、政府が制定した『暫定基準値』は、たしかに非常に余裕をもった安全な数値であると思います。
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これで報道されている『基準値を超えたら水道水を飲むのは控えてください。でも飲んだとしても健康に影響はありません。』という発言もウソではないとわかります。
まぁ、本当は遙かに保存がきくとわかっている缶詰が消費期限を1日過ぎていて『食品安全法に従って、食べないようにしてください。 でも食べたとしても大丈夫です』って言ってるのと全く同じなのです(笑)
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