2B弾と銀玉鉄砲

  本日、村祭。地域総出で神社の飾りつけをした。
 
 子どものころ、わたしたちは夜宮で戦争ごっこをした。

戦争がいいだとかわるいだとかそんなむずかしことは考えていない。
ただ、あちらのチームにいるやつを撃つべし撃つべし。
 
 武器は直径四、五ミリで銀色に塗られた素焼の丸い玉をワルサーP38のような形の鉄砲で撃つ銀玉鉄砲だった。
 
 
 玉を飛ばす動力は弱いバネだから、威力はあんまりない。至近距離で当たったところで大丈夫。服の上からだと当たったのもわからなかったりして、「オマエ、当たった。死ね」とか「当たってねーよ、バカ」とかという罵声が戦争しながら聞こえる。
 
 
 そして、もうひとつかかせぬ武器が2B弾だ。

 形は細く短いタバコのよう。
 
 どうして2B弾という名前なのかはわからないが、アメリカあたりから流れてきた危険なブツのような、そんな感じを受けていた。ま、実際は愛知県の花火工場で作られていたらしい。


 マッチ箱に先端をこすると、そこから音をたてて火を噴いた。その火は水の中に投げこんでも消えることはなく、黄色い泡をブクブク出して、最後にバン!と爆発した。
 
 その爆発力はというと、銀玉鉄砲と比べてはるかに危険だ。カブトムシやカエルなら即死というくらい強烈なものであった。
 
 ちなみに、当時の日本全国のほとんどの少年が、道に落ちている犬のウンコに火のついた2B弾を刺し込んでいた。爆発のギリギリまでウンコのそばで耐える度胸試し。いかに根性があるかを競うのだ。
 
 もちろん、最初に逃げるのはチキン野郎ということでバカにされる。爆発ギリギリまで耐え、その直前に「わっ」と逃げることのできる少年が度胸と理性の両方を兼ね備えたオトコとして尊敬される。
  
 度胸だけあって、爆発に巻きこまれ、犬のウンコを浴びてしまうようなヤツは「うんこかぶれ」と言われて軽くみられる。
 
 
 その危険な2B弾を敵の陣地に火をつけて投げこむ戦争ごっこ。手留弾のノリだ。
マッチにこすって火をつけて・・・だが、すぐに投げてはいけない。
 
 手に持ったまま「いち、に・・・」と数えて「しち」になったら投げ入れる。すると、相手の陣地に落ちて爆発する。それ以上早く投げると、相手に拾われて投げ返させれしまうのだ。だから、ギリギリまで持っている度胸が必要なのだ。
 
 ただ、一本一本にムラがあり、「しち」で投げる前に手に持ったまま爆発し、しばらく悶絶していしまうようなこともあってなかなかワイルド。
 
 なお、メンバーに金持ちの子息が混じっているときは、ロケット花火なども購入して、敵陣地を攻めることができる。ま、ほとんど外れて民家の軒先に飛んでいったりするのだが。
 
 しかしまあ、なんというわるい遊びであろうか。いまならPTA総会で問題になっちゃいそう。ま、当時はおおらかだったのだなあ。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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