ババズ

 よくある話なのかもしれないけれど・・・




 「いたかねー(いらっしゃいますか)?」と我が家にやってきた近所のオバアサマ。


 「いたよー(いましたよー)」と玄関に迎えに出て答えるうちのバさま。


 「これ、旅行でこてきた菓子。ひとつくてくんなせ(これ、旅行で買ってきたお菓子です。ひとつ食べてください)」とオバアサマ。
 
 「おこ、おめさん、こんげことせんばいいがに(おや、あなた、こんなに気をつかわなくてもいいですのに)。ま、よりなせて(はい、どうぞなかに入ってください)」とうちのバさま
 
 「いや、寄らんね。すんま帰らんかね(いいえ、寄れません。すぐに家に戻らなければいけませんから)」
 
 「そらかね、ま、いねかね、ちとよれて(そうなのですか。でも、いいじゃないですか、ちょっとだけでも寄ってください)」
 
 「や、娘が待ってっけダメらて(いいえ、お気持ちはありがたいのですが、娘が自宅で待っておりますので今回はご遠慮申し上げます)」


 「あいやー、そーらんかね、わーりかったね、ごっそさま(あら、そうでしたの。申し訳なかったですね。ごちそうさまです)」


 「そいえばおめさん、このまえはごっそさまでした(そういえば、先日はこちらこそごちそうさまでした)」
 
 「なーにね、いっつも世話なってんねかね(なにをおっしゃいます。いつもお世話になっているじゃありませんか)」




 と、その後は、今年はキャベツの生育がどうだの、うちは水道が漏れているけどお父さんが金持ちだからいいって言われただのと、玄関で延々一時間半お話していたババズ。
 
 いつもこうなるんだから、最初から寄れってばね。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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