いけないよ

 ハチの死んだ朝、その体を撫でながら、泣いた。



 娘もそばにいた。いっしょに泣いていた。



 娘に言いたかった。

 でも、言おうと思っても涙が出てしまって、なにも言えなくなった。



 なにも言えなかったけれど、

 娘にはじめて見せた父の涙で伝わっていると思った。





 「オマエは、ぜったい親より先に死んじゃいけないよ」って、父が言いたかったことはわかってくれただろうと思う。死んじゃいけないよ。 





そしてオレたち子どもは、親より先に死んじゃいけないよ。ジタバタしてもオレは生きるよ。

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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